GWにおけるサバイバル

いよいよ明日からゴールデンウィーク。なんか今年のGWは長くて10連休にも及ぶらしいですね。そんなに休むといよいよ社会復帰できなくなるぞ!(僕は年中ホリデイなんですが)


で、ゴールデンウィークといって僕が思い出すのが僕の父親のことです。僕の父親は6年前に亡くなってしまったんですが、今思うといい父親でしたよ。そりゃちょっとていうか大いに一般的に思い描かれる父親像とはずれまくった人でしたが、奇妙奇天烈なりにも父親としての愛情を僕に示してくれていたと思います。人間臭くて不器用な人でしたからね。


僕が小学3年の頃のゴールデンウィーク、そんな父親がいきなりキャンプに行こう!って言い出しました。たしかGWも終盤に差し掛かった5月4日だったと思います。僕んちは極めて貧乏だったので、GWといってもどこにも連れて行ってもらえないんだろうなーと姉と2人で半ばあきらめていたところに父からのその知らせですよ。もう子供達おおはしゃぎ。そんなわけで僕と父と姉で、軽トラの荷台にテントだの飯盒だの米だのをワサッと詰め込み、喜び勇んでキャンプへ出発したわけです。


と言っても5月4日ともなればどこのキャンプ場もいっぱいのはずですよね。でもそこはさすが我が父親ですよ。前もって早いうちからキャンプ場を予約してくれていて、子供達をびっくりさせようとしていたとは!いやーやるときゃやるじゃないの旦那なんてことを考えていたんですが、はい、僕が甘かったです。


父の運転する軽トラは国道を離れ、ズンズン人気のないところに進んでいきます。僕と姉はさすがに心配になって顔を見合わせるばかり。そして僕達の不安が最高潮に達した頃、軽トラは不吉な音を立てて停車しました。







うん、普通の山の中







…(゜Д゜ )見紛うことなき大自然。もちろん人っ子一人いませんよ。世間が楽しくGWを過ごしている中、僕達3人だけ別世界に隔離されちゃったみたい。ガクガクブルブルの僕と姉を尻目に父だけは非常に満足げにしており、「さーサバイバルだー」とか常軌を逸した発言をしておりました。多分父は文明って言葉を知らなかったんだと思う。


そんな怯えきった僕と姉の耳に「火だけは大サービスで父さんが起こしてやる。米も炊いてやる。だが他のことはお前らだけでやるんだぞー」という死の宣告が届きました。やばい…。この人本気だよ…。


てことで、僕と姉は協力してまずテントを張りました。その後食うものが必要だろってことで、木の枝と軽トラにあった毛糸で釣り竿のようなものを作り、その毛糸の先に川辺で捕まえたサワガニを結び付けなんとか魚を釣ろうとしてみたんですが、案の定釣れません。魚もそこまでバカじゃないわな。


川がだめなら山の中にキノコみたいなもんは生えてないかってことで、僕達は山の中に出かけました。その頃にはもう暗くなり始めてたので2人ともかなり必死。僕らは子供らしい笑顔をあの山でなくしたんだと思う。そんな感じで食い物を山の中で探してたんですが、カエルが心底苦手な姉が運悪くカエルを触ってしまったらしく、この世のものとは思えないほどの奇声を発し走り出してしまったのでキノコ探しもあえなく中止。


そんなこんなでテントを張った地点まで泣きながら降りてきたんですが、そこで僕と姉は驚愕の事実を目にします。









軽トラが消えてる…(゜Д゜ )








もちろん父の姿も見当たりません。それはそれは大パニックでした。ほの暗い山の中に2人だけ取り残されちゃったわけですからね。ぎゃーぎゃー泣き叫び、狂ったように父を呼び続けてました。最終的に僕らが平常心を取り戻すためにやったことがしりとりですよ。人間絶望の淵に立たされると何をしだすかわからないもんです。そのしりとり、僕が最後に「ランタン」と言って負けてしまったことも印象的な思い出の一つです。ランタンって。


で、恐怖感バリバリの中僕と姉が震え上がっていると、ブロロロロ…と聞きなれた車のエンジン音が聞こえてくるではありませんか。そうです。父の軽トラが帰ってきたのです!有無を言わさず父に飛びつく僕ら。あの時ほど父の存在を頼もしく思ったことはありません。2人でオイオイ泣きながら父にしがみついていました。あの時の父の表情を一生僕は忘れないでしょう。












スーパーの袋いっぱいに缶ビールを買って満足げな父の表情を












「いやービール買い忘れちゃったけぇ、急いで買ってきたわ」と満面の笑みで僕らに告げる父。愕然とする僕と姉。うん、こいつとなら刺し違えてもかまわないって思ったね。その後僕達は微妙な雰囲気でサワガニを焼いてそれをおかずに白ご飯を貪り、狭いテントの中で酔った父に絡まれつつ眠りにつきましたとさ。


えーと、それでは楽しいゴールデンウィークをお過ごしくださいね!キャンプとかお勧めですよ!



今日のBGM
Map of What Is Effortless/Telefon Tel Aviv

Map of What Is Effortless/Telefon Tel Aviv

この人たちの音楽をエレクトロニカって言っちゃうのはちょっと申し訳ない気がします。それほど音が繊細だし、もうクラシック的な格調高さすら漂っちゃってますからね。Immediate Action 8もよかったんですが、僕としてはこっちの方がスケール感を増している感じがして好きです。エレクトロニカなんてもう飽きたっていう人にこそ聴いてみてもらいたい、そんなアルバムです。


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